2016/09/14

海洋生物科学科が中心で実施した「さくらサイエンスプラン」~ベトナム国家農業大学水産学部の水産技術研修~

みなさん、こんにちは。海洋生物科学科の Kenji♪ です。

今回は、ベトナム国家農業大学水産学部の水産技術研修の模様をお伝えいたします!!


福山大学は一昨年・昨年に続き、科学技術振興機構(JST)の日本・アジア青少年サイエンス交流事業「さくらサイエンスプラン」に3年連続で採択されました。

3年目の今年は、ベトナムの首都ハノイに在るベトナム国家農業大学水産学部の学生さん10名と教員2名の計12名が福山大学を訪れ、8月29日から9月4日までの1週間、本学で主に水産技術の研修を受けました。

第1日目・・・
一行は、ハノイから韓国(仁川)経由で広島空港に到着し、福山大学の教職員がご一行を出迎えました。

「ようこそ広島へ!!」・・・広島空港にお出迎え

福山大学のスクールバスで本学へ向かい、到着後、大学会館で歓迎会が行われました。
その後、オリエンテーションを行い、海洋生物科学科棟(16号館)へ移動して、さっそく渡辺准教授からバイオロギングに関する研究説明を受けました。

渡辺准教授からバイオロギング研究の説明を受ける・・・興味津々!!

夕方になり、宿泊先の尾道のホテルに向かい、しばらくの時間、港町・尾道を散策しました。
海岸通りでは、心地よい海風を感じながら、これから始まる研修に胸を膨らませていました。

港町・尾道をゆ~ったりと散策

第2日目・・・
さて、いよいよ研修が始まります。抜けるような青空のもと、しまなみ海道を走り、「因島大橋からの風景はベトナムにはない素晴らしい眺めだった」と大喜びの一行でした。

因島キャンパス1号館の屋上にて

因島キャンパスに到着後、初めに満谷学科長から海洋生物科学科全体の説明があり、その後、キャンパス施設と海岸などのフィールドを見学しました。とくに、大学の施設として水族館(マリンバイオセンター)があることに大変驚かれ、また水族館の飼育展示を学生たちが行っていることにビックリしていました。


水族館マリンバイオセンターでお魚たちを撮影中♪


この日は、増養殖の授業と実習を行いました。有瀧教授から日本の増養殖の現状と資源管理について説明がありました。ベトナムの将来を考えると、今から「つくり育てる漁業」を準備しておく必要があるとの意見が印象に残りました。また、環境への意識が高く、養殖と赤潮に関する質問が多くありました。

授業に聞き入る研修生たち

その後、Tuan学部長からベトナムの水産について概要説明があり、エビの養殖生産が盛んな国であることを知った本学学生の一人は、お昼の和食弁当を食べながら「このエビの天麩羅も、もしかしたらベトナムから来ているのかも」と微笑んでいました。


和食弁当を食べながら・・・「このエビは、ベトナム産?!」


第3日目・・・
快晴の空が広がった因島キャンパスでは、「Good Morning」「チャオ・ブイ・サング」の爽やかな挨拶が飛び交いました♪
この日は親魚と卵の管理、餌料培養と仔稚魚飼育の実習です。

飼育施設にて実習開始

福山大学の大学院生と4年生が飼育施設を案内し、必死にコミュニケーションを取っていました!!
意思の疎通は “伝える気持ち” と “度胸” が大切・・・そこかしこで交友の輪がひろがっていました♪

実習を通じてひろがる交友の輪
今回のプログラムは、日本の増養殖を伝えることが大命題。
魚の飼育にとって病気と赤潮は大きな被害を及ぼす問題として研究が進んでいます。
河原教授からは魚病を、満谷教授からは赤潮の概況について講義がありました。
ベトナム側からは、赤潮の要因や原因生物を研究することに加え、環境問題に取り組む体制と国民の意識の醸成が必要だとの意見が出ていました。


第4日目・・・
ベトナムの皆さんの日頃の行いが良いからでしょうか、この日も快晴でした!!
尾道から向かった先は、愛媛県大島・・・日本で盛んにおこなわれているマダイの養殖場と、東南アジアで注目されているハタ類の種苗生産現場を視察しました。
マダイの養殖業を営んでいるカネキ水産の矢野社長に対して、餌の中身や割合、人件費や餌料費などの経営面、赤潮や魚病の被害について質問が多く出ました。

カネキ水産の矢野社長に質問中!!

その後、国立研究開発法人水産研究・教育機構の伯方島庁舎に移動し、この地方で通称アコウと呼ばれているキジハタの種苗生産施設を見学しました。
ここ伯方島庁舎は、今や世界各地で行われている海産魚介類飼育の発祥の地でもあります。60年も前に日本が国を挙げて「つくり育てる漁業」を立ち上げたのです。その歴史を振り返りながら、キジハタの飼育過程の説明を受け、飼育現場を視察しました。

飼育水槽を眺める皆さん

第5日目・・・
広島平和記念公園へ行きました。
尾道を午前8時に出発・・・一行を乗せたスクールバスは、10時前に広島平和記念公園に到着!!
まずは、原爆資料館を見学しました。
資料館のなかでは、これまでの皆さんの明るい表情が一変していました。
やはり、その衝撃は大きかったようです。
原爆資料館を見学したあと、公園内に在る決して消えることのない「平和の灯」を左に感じながら、原爆ドームの傍まで行きました。
記念撮影をする皆さんの周りには、平和を象徴するような “ちいさな秋の風” が吹いていました・・・。
そしてこの日、9月2日はベトナムの建国記念日でした。

原爆ドームの傍で・・・

広島から本学へ還ったあと、大学会館のCLAFT教室で今回の研修を振り返りました。
参加した皆さんからは感謝の気もちが語られ、素晴らしいもてなしと大学スタッフの真摯な姿勢に感銘を受けたなどの身に余るお言葉をいただきました。

ご参加の皆さんから、今回のプログラムの成果と感想をお話し頂きました

その後、会議室へ移動して、今回のプログラムの修了証書授与式が行われました。修了証書は、JSTからのものに加え(台紙に「さくら」があしらわれている)、本学からも独自の修了証書(こちらは台紙に「金魚」があしらわれている)が手渡されました。

松田学長から修了証書授与

修了証書授与式後の記念撮影!!

この夜、尾道の居酒屋で日本文化体験(送迎会)が催され、宴席ではみんなでベトナム風の乾杯をしました♪♪♪


尾道の居酒屋にて、日本文化体験♪♪♪

第6日目・・・
この日の朝に荷物をまとめ、スクールバスに乗り込んで鞆の浦へ行きました。人間文化学部の中嶋教授の案内で鞆の浦歴史散策をしました。

鞆の浦歴史散策
おみくじをひきました
絶景の対潮楼にて一休み

窓から仙酔島を臨む絶景の対潮楼でゆ~ったりとしたひとときを過ごしたあと、鞆の町並を散策・・・保命酒が生まれた太田家を見学しました。

太田家にて

お昼は名物「鯛めし」

鞆の浦で名物の「鯛めし」を堪能したあと、スクールバスで福山駅へと移動し、駅中でお土産を買い、JRチケットを配って “自動改札機を通る練習” をしました。
彼らにとって、これが日本で初めての列車の旅です。新幹線のホームでは、通過するのぞみ号のスピードと爆音に驚いていました!!

その後間もなく、彼らが乗る『さくら550号』がホームに滑り込み、福山大学での『さくらサイエンスプラン』が終わりを告げることとなりました。

ホームに滑り込む「さくら550号」

一行を乗せた『さくら550号』は一旦、新大阪へ・・・
ゆったりとした『さくら』のシートに腰を下ろし、はじめての新幹線とあって皆さん大はしゃぎ!!
賑やかにおしゃべりを楽んだり、目まぐるしく移り行く車窓の景色を撮影したり・・・。

『さくら号』の車内にて

ゆ~たりシートでおくつろぎ

車内では鞆の浦でひいた「おみくじ」が話題になり、「大吉」を英訳するのに引率した南教授は一苦労・・・そうこうしているうちに、新大阪駅に到着。
その後、特急『はるか』に乗り変えて関西空港へ(大きなスーツケースのお陰でエレベータになかなか乗れず、『はるか』にギリギリで滑り込んで間一髪!!)。


関西空港に到着後、今回の日本ツアー最後の晩餐です。
関空内のレストラン街でいろいろ迷った挙句、辿りついたのが「とんかつ屋」さん。
満腹になったお腹をさすりながら、お土産などを買いにショッピングへ♪


翌日は、いよいよお別れのとき。


関空のチェックインカウンターにて

長いようで短くも感じられた今回の研修。
皆さん口々に「素晴らしい研修だった。是非、また来たい!!」との感想。

涙ぐみ、なかなかゲートへ入らない学生さんを急かして、『さくらサイエンスプラン』はめでたく終了しました。
これを機に、福山大学とベトナム国家農業大学との国際教育プログラムが発展することを期待しています。


文末ではありますが、今回のプログラムにはベトナムから福山大学へ留学中の学生2名(経済学部のトゥワさんと人間文化学部のベンさん)のサポートがとても大きかったです。
彼女たちの通訳があって、より具体的な内容でさまざまな説明ができました。彼女たちも母国からのお客さんとあって、終始故郷を懐かしみながらのひとときを過ごしたことと想います。
この場をお借りして、・・・トゥワさんとベンさんに厚くお礼申し上げます。

(海洋生物科学科 Kenji♪)


学長から一言:海洋生物科学科の皆さん、関係者の皆さん、お疲れさまでした!!すばらしい研修を提供できたようですね!!きっと今回ふれあった両大学の人々の間に、そして福山大学とベトナム国家農業大学の間に、新たな関係が生まれて、発展しますよ!!!期待していま~す!