2015/11/26

文化フォーラム2015(第4回)・地域文化の継承─地域学習  フィールドワークと井伏鱒二「在所もの」から学ぶ 2015.11.14

人間文化学科のSです。こんにちは。

今回は、11月14日に行われた「文化フォーラム2015」第4回「地域文化の継承─地域学習 フィールドワークと井伏鱒二「在所もの」から学ぶ」についてお伝えします。以下、青木教授からの報告です。

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青木ゼミでは、10年前から井伏鱒二の郷土を舞台とする小説「在所もの」についてフィールドワークを行い、その成果を地域で発表すると共に、ビデオや冊子にまとめてきました。

その成果を踏まえて、井伏鱒二の「在所もの」の原点とも思われる「さざなみ軍記」について、文化フォーラム第3回のフィールドワークを踏まえて、考察した結果をお話しました。雨の降る中、約30名余りの方が集まりました。

「さざなみ軍記」は、「平家物語」のパロディで、本編を元にしながらも、本編では戦死する平家の公達・知章を主人公として据え、彼が生きながらえて瀬戸内海を放浪し、島々に住む地侍や職人たちの支援を得て生活の場を探し続ける様を描く物語です。そこには、さまざまな現実の苦悩を感じていた青春時代の井伏が、主人公に自らを重ねて、その苦悩からの脱却を図ろうとしたことが読み取れます。


そこで井伏が注目したのが、郷里の「谷間ワールド」でした。そこには、郷里を失った人々が新たに住み着き、開拓した最小限度の、人間の生活空間が実現されていました。それは、同時期に発表された小説「朽助のゐる谷間」と共通するものであることを指摘しました。これは青木ゼミが10年間のフィールドワークの出発点に取り上げた作品です。その「谷間ワールド」の世界を、苦悩の井伏は心の拠り所としたのではないかということを、話の結論としました。

文化フォーラム2015は、地域学習として、井伏文学を語りますが、それは参加者全員が、それぞれの井伏文学を再話することに目標があります。次回は、ふくやま文学館館長を迎え、これまでの講演者、高校生、大学生等の参加者がシンポジュウムで、それぞれの井伏文学との関わりを語ります。本学学生のほかに、他大学の学生もゲストに迎えています。ご来場をお待ちしています。

※ 写真は、中国新聞エリア通信員の粟村真理子氏の提供です。

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・次回の文化フォーラムは12月13日の予定です。
・文化フォーラム2015の概要についてはコチラ
 

学長から一言:この文化フォーラムには、雨もものともしない固定フアンがついたようですねッ。。。次回もお楽しみに!!