2014/07/30

生命工学部 第14回 公開授業「ヒラメキは食から」

こんにちは。生命工学部ブログスタッフ3人合わせてSNSです。
今日は6月、7月に行われた生命工学部公開授業について報告したいと思います。

生命工学部 公開授業も今年で14回目となりました。この公開授業は、生物工学科、海洋生物科学科、生命栄養科学科の3学科の教員が、わかりやすい講義・実験を提供させていただくことで、一般の皆様にもっと生命科学を身近に感じてもらいたいという趣旨で行っております。今年も多くの皆様にご参加いただき盛況のうちに終えることができました。ご来場いただきました皆様に感謝申し上げます。

以下に簡単に公開授業の様子を紹介します。

第1回公開授業 「講義の部」 6月14日 14:00-16:00 宮地茂記念館

最初に、桒田寛子助手の方から「身近な調理の科学」というタイトルで講演がありました。私達は、普段から青い葉っぱの野菜を茹でる時には塩を加えて茹でます。では、なぜ、塩なのでしょう? 砂糖ではダメなのでしょうか? 答えは、青菜は長時間茹でると緑色の成分が違う成分に変わるため変色しますが、塩にはその変色を抑える働きがあり、砂糖にはその働きが無いため、砂糖ではダメなのです。私達が普段の調理で経験的に行っていることのほとんどは、このように科学的に説明ができるとのお話でした。

桒田助手
続いて、山本英二教授から「食と健康に役立つ結晶の科学」という講演がありました。食品や生体に関連する結晶について、生成過程およびその結晶の機能の解説でした。アイスクリームの中の氷結晶の大きさを35~55μm以下に結晶化させることで食感の滑らかなアイスクリームを作ることができることや、チョコレートの中のカカオバターの結晶構造を制御することで口どけを変化させることができることなど、ミクロな結晶の観点から食品のポイントが分かる内容でした。
山本教授
第2回公開授業 「講義の部」 6月28日 14:00-16:00 備後地場産振興センター

最初に、杉原千紗助手が「福山バラの酵母で地域発のパン作り!」というタイトルで講演しました。福山と言えばバラ。戦後の復興のシンボルとして、バラは福山市民の心に受け継がれてきました。そんなバラの蜜を求めてたくさんの種類の酵母たちが集まってきているのをご存知ですか? そんな酵母を使ってパン作りをしようという挑戦が今、福山大学を中心に産官学連携で行われようとしています。講演の詳細は生物工学科HPで。
杉原助手
続いて、有瀧真人教授が「魚に我慢してもらう方法~悩み多き育種屋の失敗と工夫~」というタイトルで長年携わってこられた栽培漁業(=作り育てる漁業)を主題に講演しました。飼育者はマダイやヒラメ、ブリなどの様々な魚種を扱います。元々これらの魚たちは広い大海原の様々な場所で生まれ,成長・発達しながら成熟し再び産卵・産仔を繰り返し生活しています。仔・稚魚期だけに限っても種ごと,発育段階ごとに形やサイズは千差万別で沖合域からごく沿岸域までを多面的に利用し,餌となる生物もそれぞれ違います。しかし,飼育の現場では、主に作業の効率性や管理の容易さなどが重視され,魚の側から環境条件が十分に検討・整理されてきたとはいえません。有瀧教授は、物言えぬ魚たちの訴えを謙虚に受け止め,飼育水槽の中の魚たちと「会話」することが最も重要だと考えています。今回の授業では、「水槽の中は魚にとって暮らしやすいですか?」という問いかけを重ねてきた飼育者の努力と苦労の一端の紹介でした。

授業担当の有瀧教授 <●)))<<
第3回公開授業 「楽しいバイオ実験」 7月26日 13:30-16:30 福山大学 生命工学部

楽しいバイオ実験は大好評につき、今年も早期に予約を締め切らせていただきました。今回残念ながら参加できなかった皆様にはお詫び申し上げます。200名程度の参加者がおり、すべての実験は超満員。外は37℃の猛暑の中、涼しい実験室で実験を楽しんでいただきました。まずは秦野学部長の挨拶(下写真)。
生物工学科では、「福山バラの酵母で発酵について学ぼう!」と「ガラス細工」の2つのコーナーがありました。前者では、福山のバラの蜜に群がる酵母たちを用いてパン作りを行いました。異なるバラの種には、異なる酵母が住み着いており、それぞれの酵母を使うといろいろな匂い、味、触感のパンが出来上がります。おいしそうなパンが出来上がりました。

福山バラの酵母パンに興味を持たれた方は以下のサイトも参考にしてみてください。
学長室ブログ1学長室ブログ2学長室ブログ3生物工学科HP1生物工学科HP2

ガラス細工コーナーでは、ガスバーナーでガラスを変形させ、きれいなアクセサリー作りを行ってもらいました。約束を守れば火だって怖くないんだよー。実験中の子供たちの豊かな表情が印象的です。

海洋生物科学科では、「魚の気持ちを理解する」と「きれいな海藻押し葉を作ろう」の2つのテーマに分かれて、実験を行いました。参加者は、計70名ほどになりました。

「魚の気持ちを理解する」では、身近な魚であるキンギョとメダカを使って3つの実験を行い、魚の体の仕組みや気持ちを考えました。

キンギョの表情を、じっと観察…


キンギョの気持ち・・・伝わったかなぁ?
「きれいな海藻押し葉を作ろう」では、さまざまな海藻を使って、オリジナルの押し葉標本を作ることで、海藻の構造の特徴や海藻類の多様性について理解が深まったのではないかと思います。
 

「海藻はねぇ・・・」


海藻の切れ端で、可愛いクマちゃんができそうです♪
これらの実験を通じて、海の豊かさや不思議さについて、参加者して下さった皆さんが興味をもってくれたらと思います。

生命栄養科学科では、「合成着色料ってなあに?」と「もっちり・しっとり!米粉パン作り」の2つのコーナーがありました。まずは、合成着色料のコーナーからご紹介しましょう。合成着色料入りの食べもの(おかし、漬けものなど)と毛糸を酢に浸し加熱すると、色素が毛糸にうつります。色のついた毛糸をアンモニア水に漬けると、今度は毛糸の色がアンモニア水にうつります。そのアンモニア水をTLCプレートというシリカの塗ってある板にのせて展開すると・・・あら不思議! いろんな色の色素が分離できました。


「もっちり・しっとり!米粉パン作り」では、米粉入りのパン生地にジャムやあんこ、チーズを入れて好きな形を作りました。アンパンマンやうさぎさん、かめさんもいて天板を見ているだけでも楽しくなります。二次発酵で一回り大きくなったパンに塗り卵をしていざオーブンへ! 上手に焼けてもっちり・しっとりの米粉パンをみんなで美味しく食べることが出来ました。
  



公開実験は、子供たちにとって夏休みの一つの思い出になったでしょうか? これを機会に是非、生命科学に興味を持ってもらえたらいいなぁ。


学長から一言:「楽しいバイオ実験」は本当に楽しそうですね。。。.私が子どもの頃は、こんな楽しい実験を子ども向けに行ってくれる大学なんて、なかったなー。。。みんな理科好きになってね!!


(注)本サイトにおける写真につきましては、公開実験の全体説明の際に許可を頂き撮影した記録写真を使っておりますが、問題がある場合、連絡していただければ、即対応いたします。