梅雨明けが待ち遠しい今日この頃ですね。
さて、心理学科の認知神経心理学研究室(橋本ゼミ)のメンバーがスタッフとして関わっている「高次脳機能障害者の社会参加・社会復帰支援グループ:夢々(ゆゆ)」が、財団法人義倉から活動のための助成金を受けたということで、学長に報告がありました。
現在、このグループのとりまとめを行っているのが、大学院生(心理臨床学専攻)の後藤貴行君と錦織翼君です。後藤君と錦織君に、夢々のことや義倉について聞いてみました。
金平:まず、夢々が支援しているという高次脳機能障害について教えてください。最近よくテレビなどで見ますし、映画のテーマにも選ばれたりしていますよね?
後藤&錦織:そうですね。僕たちも先輩や先生の活動を通じて知ってきた部分がたくさんありますが、こういう活動をしているせいか、「高次脳機能障害」という障害名は最近よく耳にするようになったと感じます。高次脳機能障害とは、事故や脳梗塞などによる脳の損傷が原因となり、記憶障害や注意障害、遂行機能障害、感情や欲求のコントロールが難しくなるなど様々な症状が現れ、それによって社会生活が困難になる障害です。
金平:では、夢々はそういう障害の克服を支援しているのですか?
後藤&錦織:いいえ、私たちはそういう障害に直接対応しているのではなくて、障害があることによって難しくなっている社会参加を支援しています。高次脳機能障害をお持ちの方では、障害があるがゆえに社会とつながることが難しくなっているケースが多々あります。私たち夢々は毎月第2週の土曜日に、福山市を中心に学生や地域の心理士などのスタッフと高次脳機能障害の当事者の方、そして、そのご家族の方と一緒に清掃活動や調理活動などをしながら、家から一歩出て地域社会で楽しまれることを目標に活動を行っています。
金平:なるほど。障害のリハビリというよりは、社会参加のリハビリということをしているということですね。では、今回助成を申請した義倉とはどんなところですか?
後藤&錦織:はい。一般財団法人である義倉は、文化元年(1804年)に飢饉や災害発生時の被災者救済及び教育、文化の発展向上を目指して設立されて以来、救済関係、教育関係、殖産関係の三分野において寄付、助成をされている法人です。また、福祉、教育、殖産の領域において、資金を出されており、福山市及びその周辺地域に多大な貢献をされていると伺っています。
金平:福山市にそういう古い歴史を持つ財団法人があるのですね。今回はどういう目的で助成を申請したのですか?
後藤&錦織:私たちは、2011年から夢々の活動を行ってきていますが、活動を行う中で,高次脳機能障害の方の社会参加を促進するためには、当事者の方々への直接的な支援だけでなく、地域の方々に高次脳機能障害について広く知っていただくことが大切であると思うようになりました。なぜなら、この障害は、見た目には分かりづらく、まだまだ認知度が低いため、「怠けている」「仕事ができない」ととらえられてしまうことが問題となっているからです。こういった高次脳機能障害の分かりづらさや認知度の低さが当事者の方々の社会参加を妨げています。そのため、今年度の夢々では、頂いた助成金を毎月の活動だけでなく、高次脳機能障害に関する啓発活動にも役立てたいと考えております。
具体的には大学祭でのPRを考えています。夢々は毎年福山大学の大学祭に出店し、模擬店のグランプリもいただいたことがあります。これまでは、当事者の方と一緒に作業し、大学祭という場で色々な人とつながっていくことを目標としていましたが、今年は大学内外の方々にもっと高次脳機能障害を知っていただくことができるようなPR活動に力を入れたいと思っています。
金平:夢々の模擬店は、毎年、大きなお団子がおいしいと評判ですよ。大学祭での夢々の活動も随分定着してきたように感じています。今年は、一歩前進ですね。では、最後に一言、今後の意気込みを聞かせてください。
後藤&錦織:今後も一層夢々の活動に力を入れていきますので、皆様の温かいご支援をお待ちしています。高次脳機能障害についてもっと知りたいと思った方は、高次脳機能障害に関する映画や書籍等がたくさんありますので、ぜひ声をかけてください。
学長、後藤君と錦織君、そして指導の橋本教授
学長から一言:夢夢は、たしか、社会福祉法人広島県共同募金会が募集した「社会課題解決プロジェクト」にも採択されていましたね。。。すばらしいアクティブ・ラーニングです・・・義倉にも感謝!!