メディア・映像学科というと、映像制作や学外での展示活動など、メディア制作に関わる授業や活動が多い印象があると思います。(「サクッとムービー」 「鞆の浦deART 滞在制作」)
確かに、他の学科と比べても、コンテンツ作成にかかわる演習が多く、互いに制作物を批評し合いながら、社会への理解を深めていくことに学科のカリキュラムの特徴があります。
しかし制作以外にも、社会の成り立ちや人びとの考え方を調査する方法について学ぶ講義も用意されています。「メディアと調査」が調査法について学ぶ講義の一つで、講義の前半で統計にまつわることを学修し、後半にはインタビュー調査の演習を行います。
インタビュー内容の文字おこし作業。一字一句聞きもらさないように書き留めます。
「メディアと調査」の授業では、「自分のことが他者によって語られてしまうこと」を経験してもらうために、まず、受講生同士でインタビューをし合って文章化し、それらを読みあう作業を行いました。
特に記述の形式を決めずにやってもらったので、創作にあふれた文章から、語られた言葉を一字一句もらさずに使った形式のものまで、さまざまなインタビュー文章が提出されました。
授業では、提出されたレポートを使って振り返りながら、どんなに言葉を重ねても、完全に自分の思うようには伝えられないのだということ(これは裏返せば、聴き取りの難しさということでもあります)を実感する機会となりました。
人間文化学部事務室の方へのインタビューの様子
この経験を経た上で次に行ったことは、普段あまり触れる機会のない方々へのインタビューです。
今回は、大学の事務局の方々に協力してもらい、教務課、学生課、人間文化学部事務室のみなさんが、普段どのような思いのもとで働いているのか、そもそも大学の中の仕事とはどんなものなのか、というところをインタビューで明らかにするという課題に取り組んでいます。
受講生の緊張のおももち・・・。とても丁寧に答えていただきました。
受講生のみなさんから見えている「大学の仕事」を書き出し、これまで見えていなかった大学の仕事のことやその人らしさを引き出すための質問項目を考え、役割を分担し、その場でフレキシブルにインタビューをつくっていく、そのような演習を行っています。
懸命な文字おこし作業
「他者の話を聴くこと」は、普段から行っていることでもあるので、非常に簡単なように思えますが、実はとても複雑な作業です。その人の発した言葉は、自分が普段使う言葉と同じような意味で使われているのか、言外に含まれているものはないか、聴き取ったものをどのように記述したらよいのかなど、一人の人の言葉を書き取るために考えるべきことは大変多く、インタビューの調査法については研究者のなかでも常に議論の対象となるところです。
学長から一言:面白い授業ですね~。。。授業に協力してくださった職員の皆さま、ありがとうございました。。。こんなところで、学生を育てるための教職協働が行われていたのですねッ!!!