心理学科「犯罪心理学研究室」の学生達は、長年「地域安全マップ」の作製に取り組んでいます。今日は、学生が主体となって行ったセミナーの模様について、平伸二教授からのレポートをご紹介します。
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犯罪心理学研究室のPACE福山支部が,今年も新入生を対象とした「地域安全マップふくやまセミナー」を開催しました。毎年恒例の行事であり,犯罪心理学研究室の3,4年次生と大学院生が,新入生たちに講義で「地域安全マップ」の目的や効果,そして,フィールドワークとマップ作りを一緒にすることで,自分たち自身にとっても,楽しい活動であることを伝えました。
今年は4月15日(土)の午後1時から午後4時までの3時間,場所は学校法人福山大学宮地茂記念館でした。新入生9名と2年次生1名が参加して実際に地域安全マップを作製しました。指導するのは3年次生7名,4年次生5名,大学院生1名の13名でした。
また,広島県環境県民局県民活動課,岡山県県民生活部くらし安全安心課,福山市市民局青少年課から8名の視察もあり,総勢34名が参加する賑やかなセミナーとなりました。福山市,広島県,岡山県の安心・安全を行政として牽引する方々と親しく交流できたことも,今後のキャリアを考える上で役立ったと思います。
セミナーには平成28年3月に卒業したゼミ生で,広島県警察官に採用され,福山東警察署に勤務する佐藤真隆君も駆けつけてくれました。なお,PACE福山支部のメンバーからは,昨年このセミナーで指導していた青木七菜さんが,4月に島根県警察少年補導員に採用されました。
過去にも広島県警,兵庫県警,山口県警の警察官,さらには,みんなの憧れである科学捜査研究所に2名が採用されて勤務しています。それらのすべての卒業生が,このPACE福山支部の活動を行っていました。今年の参加者の中からも,これらの先輩に続いて警察官,少年補導員,科学捜査研究所研究員として採用される者の出ることを期待しています。
開会式と来賓挨拶の後,PACE福山支部の舘上幸大代表と河相宏紀君が,地域安全マップを支える理論を講義形式で教えました。
講義終了後,参加者を5名ずつの2班に分け,宮地茂記念館周辺の割り当て地域を,PACE福山支部の先輩と来賓の方とともに約40分のフィールドワークに出かけました。講義で習った危険な場所のキーワードである,地域の人から「見えにくい」場所と誰でもが「入りやすい」場所を点検して歩き,手元のマップ上に印をしたり,その場所を写真撮影したりします。そして,「なぜ」その場所が危険か,あるいは,安全かを班員同士で確認します。
天気にも恵まれ,和気あいあいで新入生もゼミ生も来賓の方もとても楽しそうです。
フィールドワークから戻ると,白紙の模造紙にマジック,色紙,写真などを使って,調査結果を地域安全マップとして仕上げていきます。フィールドワークとマップ作りを通して,講義で知った知識を体験学習するとともに,小学生への指導のポイントも先輩から伝授されます。
地域安全マップが完成したら,班ごとにマップを掲げて,フィールドワークでわかったこと,マップ作りで工夫をしたこと,この調査からどのような改善が有効かなどを発表しました。
2つの班の発表会終了後,全体講評とアンケートを実施,最後は全員が一緒に記念撮影をして終了となりました。3月半ばから,学内でセミナーの練習をしたり,会場確保や参加者募集をしたり,県と市の安全を守る担当課への連絡など,PACE福山支部の3,4年生はしっかりと準備を整えてきました。1,2年生も終始,楽しそうに過ごしていました。このようにPACE福山支部の活動は,先輩から後輩に受け継がれており,来賓の方もそれぞれの自治体で参考にしたいとの感想でした。
学長から一言:息長く学生から学生にほぼ自律的に伝わっているPACE福山支部の素晴らしい活動は、こんな風に遺伝子が伝わっているのですねッ!今年度もしっかりがんばってください!!!大学も市民も応援していますよ!