7月17日(水)午後,大学のバスをチャーターして,恒例の「明王院バスツアー」が開催されました。実はこれ「特別行事」ではなく「日本建築史」の通常の「授業」で,昼休み時間中に出発して3限目の授業時間中に帰ってくるという強行軍なのです。日本建築史というと座学のイメージが強い科目ですが,日本の歴史的建築の魅力はとても教室内だけでは伝えきれません。そして何より福山市内の名刹明王院には,国宝に指定されている本堂と五重塔という,非常に貴重な歴史的建築があるのです。
国宝・明王院本堂は1321年建立の寺院建築で,「折衷様(せっちゅうよう)」様式の代表作となっています。折衷様とはいくつかの様式,正確には「和様(わよう)」をベースにして「大仏様(だいぶつよう)」と「禅宗様(ぜんしゅうよう)」が混ざった当時の最新様式です。ツアーに先立つ数回の講義で既にこれらの4つの様式について解説し,このツアーで現地解説を行います。
そして本堂に隣接して立つ国宝五重塔の解説。こちらは純然たる和様の建築です。「長押(なげし)」「三手先組物(みてさきくみもの)」「連子窓(れんじまど)」「軒支輪(のきしりん)」等々を本堂との対比も交えながら解説しました。
今年で6年目となる恒例の「明王院ツアー」は晴天にもめぐまれ,十分に時間をとって学ぶことができました。日々の生活のすぐそばにこのような素晴らしく意義深い歴史的建築があることを改めて確認し,また明王院様のご理解とご高配に皆で感謝申し上げ,バスで大学に戻りました。無事,4限目の開始に間に合ったようです。
学長から一言:とても奥の深い実地見学と講義ですね。これは受けてみたい!
学長から一言:とても奥の深い実地見学と講義ですね。これは受けてみたい!